教皇フランシスコ回勅『ラウダート・シ、主に賛美』(つづき、13-16番)。

教皇フランシスコ回勅『ラウダート・シ、主に賛美』(つづき、13-16番)。

14.どのように地球の未来を創っていくかについて緊急に話し合うように呼びかけたいです。今私たちが直面している自然環境破壊の挑戦及びその人間的な根の問題は皆の関心であり、皆に影響を与えている以上皆を一つにする話し合いが必要とされています。

エコロジー運動は世界的にすでに長い豊かな道をたどってきており、意識化への助けとなった多くの市民の動きと集いを産み出しました。しかし残念ながら、自然環境の危機のための具体的な解決を求める多くの努力は権力者の拒否や多の人の無関心のため実らないのす。

信仰者の間にさえも、解決への道をさまたげることがあります。問題を否定したり、楽に諦めたり、科学技術的な解決を盲目的に信じたりすることがあります。 私たちは新しい世界的な連帯性を必要としております。南アフリカの司教団がいうように、「神の創造を乱用した人間が引き起こした害を治すためには、皆の知恵でかかわる必要があります。皆それぞれの文化や経験やイニチアチーブや能力をもって創造のケアーのために神の道具になることができます。
15. 教会の社会教説の一環として位置づけられるこの回勅は現在私たちが直面している問題の緊急性を認め、その挑戦に答える重要さと美しさを感じさせるように願っております。まず、現代の生態学的な危機の諸側面を見て、それに関する科学的な研究の成果を参考にしたうえで、その危機が私たちに投げかけている深い問いかけをみつめて、その解決をみいだすためのこれからの倫理的・精神的な歩みを根拠づけたいです。

そうした視点からユダヤキリスト教の伝統で受け継がれているいくつかの考えを新たに取り上げ、自然環境を保護するための私たちの関わり方を基礎づけた上で、現在の状況の深い根を探り、単なる表面的な兆候だけだはなく、その深いところまでつきつめて考えたいと思います。

そうすることによって広い視野のエコロジー、つまり、この世界に置ける人間の位置及び人間と自分を取り巻く環境との関係を含むエコロジー、を提言したいです。

この考察に照らされて各人も国際政治も対話と行動に関わらせるように求めます。なお、どの変革のためにも動機づけおよび教育が必要ですので、この回勅の最後の部分でキリスト教霊性の伝統から人間成熟のためのいくつかの方向付けを勧めたいです。

16. この回勅の各章はそれぞれの課題と方法論をもってはおりますが、どの章においても前の章で取り上げられた重要な問題に新たな視点でくりかえして留意し、特にこの回勅全体をつらぬいている問題に焦点をあわせます。

中でも、次のテーマは注目されるでしょう。地球の破壊されやすいことと貧困の問題が繋がっていること、地上のすべての者が密接につながっていること、科学技術と権力の諸形態の結びつきによる新しい考え方(新パラダイム)を批判する必要性、経済と進歩に関する理解を見直すことへの招き、被造界における各々の被造物の特有の価値を認めること、誠実な討論の必要性、国際的かつ地域のレベルでの政治の大きな責任を自覚すること、使い捨ての文明を批判し新しい生活様式を提言する必要性、などです。これら諸テーマは一回だけでとりあげるのではなく、くりかえして問題提起をしなおし、その取りあげ方を深めていきたいと思います。