教皇フランシスコ『ラウダート シ 主に賛美』 (つづき17・19番)

第1章

私たちの共通な家に何が起こっているのか

17. 現在の状況の分析に基づかない限り、人類と世界環境についての神学や哲学の考察は抽象的に繰り返して聞かされる決まり文句のように思われるでしょうが、現在私たちが直面している状況は人類史の中でいまだかつてなかったのです。

それで、信仰上の動機づけで、私たちが属している世界の要請と取り組む前に、私たちの「共通な家」に何が起こっているのかを自分に言い聞かせたいのです。

18. 人類と地球における変化の速度ばかりでなく、人の生活と仕事のリズムにみる加速の度合いが注目されます。もちろん変化が複雑なシステムの活力にともなうものですが、人間の活動によって引き起こされる変革の速度は生物学的進化の遅いペースと比べれば対照的です。さらに、この急速な変化の目標はかならずしも社会の共通善と人間らしい開発とつながるわけではありません。

変化は望ましいものですが、その変化が世界に害をもたらし、人類の大部分の生活の質に危害を引き起こすとき、不安のもとになります。

19.人間の能力と進歩に対する盲目な信頼の時代が過ぎて人類の一部はより大きな問題意識の段階に入るようになりました。地球に起こっていることに対する懸念が生じるとともに、自然をケアーすることと環境を保護する必要性が感じられます。

では、今日私たちを煩わせている主な問題を(前部は網羅しなくとも)思い起こしたいのですが、それは情報取集し好奇心に満足させるためではなく、問題意識を引きおこし、危機の深刻なことを感じてもらいたいからです。

そして世界に起こっていることの痛みを自分の痛みとして感じ、各人が解決のために何を貢献できるかをみいだすように勧めたいのです。

汚染、無駄と使い捨ての文化 (つづく)…