世界代表司教会議(シノドス、2015)の準備文書と質問事項

     2014年のシノドスの最終報告(RELATIO SYNODI)及びそれにもとづいた「質問事項」は2015年のシノドスのための準備文書 (LINEAMENTA)になるようにと教皇フランシスコが決定した。

     以下はその文の目次と質問事項の「省略した仮の意訳」です。  (J.マシア)

14回 通常世界代表司教会議 のためのLINEAMENTA

     現代社会の中で置かれている教会において家族が受けている召命(vocation)と使命(mission)、家族が神様から何をするために呼びかけられ、遣わされているか。

第1部
 
     家族の生活や経験、現代社会の中で、家族が置かれており、家族が直面する問題(具体的な課題,挑戦など)に目を向け、耳を傾けましょう。

社会状況、現代社会の文脈、文化の背景

人の成長・成熟過程における生活の感情的側面での教育の重要性 

家族に対する司牧上の世話における課題

第2部 キリストのまなざしでみた家族に関する福音の教え

     歴史の歩みの中で人々を救い出す(救済史における段階を辿って人を導き出す)神のなさり方(導き、神様ならではの教育)とイエスのまなざし。

     神の救いの計画における家族
     
     教会の公文書における家族

     夫婦が共に生きる喜びと結婚の絆による結びつきの不解消性(indisolubility)。

     家族生活の真の姿とその美しさ。

     家族生活の脆くて壊れやすい面と傷ついている家族に対する慈しみ。

第3部 家族に対する司牧上の世話において教会が直面する諸問題。

     現代社会の中での異なった諸状況において家族についての福音の教えを述べ伝えるにはどうすればよいのか。

     結婚準備中の婚約者たちをどのように導いたらよいのか。

     結婚直後の夫婦にどのように同伴すればよいのか

     教会で結婚の秘跡を受けずに、民法上のみの婚姻している人や(事実上の)同棲生活している信徒のカップルに対してどのように同伴し、司牧上のケアーをすればよいのか。

     傷ついている家族について(別居夫婦、再婚していない離婚者、再婚した離婚者、
     
母子家庭など)ケアするこ と。

     同性愛の人々を受け止めること (同性愛の方向付けのある方々のをめぐって司牧上の問題の扱い方について)。

     いのちの伝達と、出生率低下の問題

     社会の福音化のための家族の役割および家族における子供の教育の課題。

付属の質問事項
前述の最終報告を受け入れ、それを深めるための質問事項

0.(質問事項の前書き:全文の諸部分にまたがる一般的な質問)
Synodusの文書で描かれている家族の有り様は現代の教会と社会の現実を表しているでしょうか。何か足りないところ、欠けているところがありますか。お気づきのところを指摘してください。

     第一部に関する質問事項

     現代社会状況について

1. 現代社会と文化の矛盾に直面する家族の問題にどう対応すればよいでしょうか。たとえば、人間関係の教育、家族を助けるための政治経済政策、子供や老人や病人の世話の問題など。特に、あなたの地域教会が置かれている状況において何が最も緊急な対応の仕方を必要としているでしょうか。

2. 人類学者が指摘している文化と社会の激しい変革の中にみられる光と影の点を上げてください。 家族の有り方や家族観における文化上の多様性の中で人類共通な要素を見出すことができるでしょうか。

3. 極限状況に置かれている家族に対して教会はどの役割を果たせばよいでしょうか。福音の教えを伝えることと問題を告発することといった役割のほかに教会がするべきことがあるでしょうか。家族を傷つけることを予防するためにはどのような教育対策があるのでしょうか。夫婦の絆を忠実に守りたい信徒を支え、強めるためにはどうすればよいのでしょうか。

4.  世俗化された社会の中で広がっている相対主義の考え方に対してどうすればよいのでしょうか。夫婦の絆に結ばれ、子供を産むことに開かれているという家族観を拒否する人が多い社会の中で教会がどうすればよいでしょうか。成長・成熟過程における感情面の育ち方の重要さについて。

5. 人の成長過程における感情的な面での成熟は重要であるが、その教育のためにキリスト者の家族が貢献できうるでしょうか。このような問題を念頭において神学生の養成をどのように刷新すればよいのでしょうか。現代においてもっとも必要とされている司牧者の姿はなでしょうか。

     司牧上の課題について

6. 家族に対する司牧上のケアーは教会から離れている人までとどくでしょうか。


    第二部に関する質問事項

    キリストのまなざしと家族に関する福音の教えについて


7. 家族を造ることへの望みは、神が人の心の中に蒔いた種のひとつですが、多くの青年にはその望みがあるはずですが、キリスト教の家族観に合わない家族環境にいる人に、そういった望みを引き起こすことがどのようにできるでしょうか。聖書を使ってキリストの眼差しで家族に関する福音の教えをどのように伝えることができるでしょうか。

8. 夫婦も子供も自分が属している家族においてどのような価値観をまなびますか。罪とでも言えるようなこととして何をさけるべきでしょうか。

9. 結婚にむかっている婚約者たちが自分たちの繋がりに成熟させるにはどのような人間教育(神のなさり方に合う人間教育)をすればよいのだろうか。

10. 夫婦の絆の不解消性は賜物であり、その美しさを示し、その実現を望ませ、それ生きる望みを引き起こすには、どうすればよいのでしょうか。

11. どのように神との関係によって夫婦関係の傷を癒すことがでくるでしょうか。神の救いの計画と家族について

12. 神が望んだ結婚の有り方は人間に制限を付けるのではなく、人間に充実観をもたらすことをどのように理解させることができるでしょうか。

13. 家族が教会の最も小さい単位であり、(神の国のための)社会福音化の主体でも対象でもあることをどのように捉えればよいのでしょうか。

14. 家族を社会の福音化に向かわせるにはどうすればよいでしょうか。教会の公文書における家族について

15. どのように家族の霊性に発展させればよいのでしょうか。命と愛の共同体としての家族、キリストとつながって新しい命の場としての家族。

16. 家族についての教会の教えをどのように信徒がまなべばよいでしょうか。学んでいる教えと実際に送っている生活の間の距離を乗り越えるにはどうすればよいでしょうか。


     夫婦の共に生きる喜びと結婚の絆における不解消性について

17.結婚の不解消性と命へと開かれていることは夫婦の自己実現の道である。その価値を理解してもらうには、どうすればよいでしょうか。



18.家族は人にとってユニークな喜びの場であることをどのように進めればよいでしょうか

19.キリスト教以外の文化と宗教にみる結婚の有り方の伝統には、どのような自然の知恵を見出すことができるでしょうか。

     傷ついている家族に対するいつくしみと家族の真の姿と美しさについて

20.傷ついた家族の傷を神の慈しみでどのように癒せるでしょうか。

21.キリストの愛をまだ理解してない人に対して、福音の要請を隠すことなく、どのように受け入れ、同伴することができるのでしょうか。

22.人間的価値を見いだされうるさまざまな「一致の仕方」(たとえば、「人と人との間の繋がりのしかた」「正式な結婚でない結ばれ方」)において男女が互いの尊敬・信頼・善への成長を養い、そのうちにキリスト教の結婚の完成に至るにはどうすればよいのでしょうか。

     第三部 に関する質問事項

     現代の異なった諸状況において家族に関する福音の教えを述べ伝えることについて

23.神学生やその他の司牧者の養成には家族が関わることができるでしょうか。

24.司牧上の「ことば・コミュニケーション」をどう大切にすればよいでしょうか。

25.家族に関する福音の教えを述べ伝えるにはどのように司牧の有り方を刷新すべきでしょうか。

26.家族を助けるための政治経済制度との協力については?家族の連帯性を強める諸協会については?家族の生活を妨げる文化・政治・経済制度を告発するには?

27.家族の善のための家族と社会・政治・国際共同体との協力は?
結婚準備の過程において婚約者を導き、同伴あすることについて

28.結婚準備における信仰の立場からの家族の使命を教えること。

29.洗礼と結婚と聖体との関係について。結婚直後の夫婦を同伴する。

30.結婚直後の夫婦の同伴について 夫婦による夫婦の同伴

31.結婚直後の家族生活作りの同伴。民法上の結婚だけをしている信徒や事実上の同棲生活の人について

32.教会の教えに基づきながら、Case by caseに結婚問題をとりあつかうことについて。教会の教えの三点(夫婦の一致、不解消性、命への開かれていること)について

33.教会共同体全体で司牧上の結婚問題をとりあつかうことについて。中でも、民法上だけの結婚、事実上の同棲など)

34.特殊問題:家族同士の結婚契約のむすびかた、段階的に行われる結婚への過程など。

     傷ついている家族について

35.傷ついた家族、その社会経済的な原因について

36.各地域教会が置かれている具体的な状況の問題

37.結婚無効宣言の教会法的な手続きの有り方の見直しについて

38.離婚してから再婚した人の問題と東方教会のやりかた

39.宗派や宗教がちがう人同士の結婚につおいて

     同性愛の傾向のある人について

40.同棲愛の傾向のある人の司牧を福音に照らして行うにはどうせれば。。。

41.命絵を生むことへの開かれているには、どうすればよいのか。子供を産むに当たっていわゆる「人間的なエコロジー」すなわちもっとも自然に合うようなあり方を促進するには教会がどのような科学技術と医療技術との対話をすべきでしょうか。

42.出生率の低下を避けるためには共同体の中の連帯性及び政治経済社会の協力あ必要であることについて。養子縁組について

43.子供を産むことは使命であることについて。夫婦の意識の育て方、夫婦における人口問題に関するモンダイ提起について

44.人工妊娠中絶の拡大をさけるには教会が何をすればよいでしょうか。命の文化の促進について。

     社会の福音化に対する家族の役割および教育の課題

45.子供の教育において両親は共同体から助けを得ることについて

46.家族の中で信仰を育てることについて