イエスと既成宗教制度との対立


六甲教会、説教箇条書き、
四旬節主日、09−03−15、 ヨハネ 2,13-22 

生前のイエスまで遡ればこの箇所の背後にある史的事実はどんなものだったのだろうか探ってみよう。そして、この福音書が書かれた背景にある当時の教会の状況などを念頭においておこう。

神殿で物を売っていた商人たちをイエスが神殿から追い払う。それは神殿の公式な宗教とイエスがもたらす宗教との間に相いれない関係があることを表わしている。

神殿中心の宗教には宗教界と政界と経済界の支配階級がそれぞれ結託し、その中心は神殿に置かれていたが、彼らは羊によって表わされる素朴な民衆を抑圧していた。その抑圧は宗教を隠れみのにしていたので、イエスはこれを告発する。

エスは羊たちにいのちと自由を与えるために、羊たちをその制度、その体制の外へ連れ出していく。

これからは古い神殿にとって代わるためには、イエスを囲んで集まる共同体が神殿となる。イエスを囲んで集まる新しい共同体こそ、イエスとともに、イエスによって、イエスのうちに父なる神を礼拝する場となるのである。
 
エスのこのような活動は、さまざまの反応をひき起こす。反対の反応もあれば味方の反応もある。これから、ヨハネ福音書ではその二つの対立が現れる。